MusaRai
桜梅桃華@女装・TSF小説
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女性限定ヨガに紛れ込んだ俺の末路:7 【完】

“私”の新しい人生

「両手で合掌をして、そのまま腕を伸ばしましょう。息を大きく吸ってー……」

私はマットの上で手本を示しながら、やわらかい声で導く。


夕方のヨガスタジオ。大きな鏡には、女性たちが一斉にポーズを取る姿が並ぶ。

笑顔で指導する私も、そこに違和感なく紛れ込んでいる。


「先生、今日もありがとうございました!私も先生みたいに綺麗にポーズを取りたいです」

生徒の一人がはにかみながら言う。

私は「ありがとう」と微笑んだ。


――まるで、本当に“女性の先生”であるかのように。


けれど、胸の奥は冷え切っている。

この笑顔も声も、すべて“作り物”。

私が男であった痕跡は、どこにも残っていない。



あの日から、ちょうど一年。

気が付けば、私はヨガ講師として働いている。

週に数回、いくつかのクラスを任され、表向きは人気のあるインストラクターだ。


でもそれは、自分の意志で選んだ未来じゃない。

強制的に“女の体”にされ、逃げ場を塞がれた結果――。

この場所以外に居場所を持てなくなってしまっただけ。


「今日は満月ですので、月礼拝ヨガを行いましょう」

無意識に震える声を抑え、私は手を上げる。


胸のふくらみが揺れるのは、最近ようやく慣れてきた。

だけど、女らしい体で動くたび、羞恥がこみ上げる。


それでも、私は笑顔で取り繕う。

“インストラクター”として振る舞う以外、選択肢はないのだから。



レッスンが終わり、更衣室のドアを閉めた瞬間、私は壁にもたれて深いため息をつく。


「……はぁ……」

汗で張りついたヨガウェア。

鏡に映るのは、すっかり女らしい輪郭をした顔。

長い髪を後ろで束ね、化粧で整えられた私。

どこから見ても“女”。

男の影は、どこにもない。


「今日もお疲れさま」

背後から声を掛けられる。

JURIAだ。

あの日からも、彼女は変わらず私の近くにいる。


「いい笑顔だったじゃないですか。もう完全に女の先生ですね」

にやりと笑う。


「……見てたんですか」


「私はあなたの指導役ですからね」

言葉が突き刺さる。


そうだ、私は自分の意志でここに立っているわけじゃない。

全部、彼女たちに仕組まれた人生。


「明日もまたよろしくね」

耳元でささやかれ、背筋が凍る。



夜、スタジオを閉めて帰ろうとすると、入口で待っている人影があった。


「リリーさん……」

彼女は相変わらず柔らかい笑顔で、紙袋を手渡してきた。


「差し入れよ。頑張ってるご褒美」

袋の中には、可愛らしい下着と、華やかなリップティント、そして彼女の会社の商品であるプロテイン。


「……これ、別にいらないです…」


「駄目。女の子は可愛くしてないとね」

逃げ場を与えない笑顔。

私は観念して袋を受け取る。


「今度、男性の生徒さんと食事にでも行ったら?」


「え……?」

耳を疑う言葉。


「男性の生徒さんからも結構人気あるみたいだよ。体がエッチだって」

リリーさんは軽く笑いながら手を振って去っていった。


胸がざわつく。

私は男性からそんな目で見られるようになっていたのか……。



帰宅後、シャワーを浴びてから差し入れを取り出す。


貰った下着を身に着ける。

「……どうして、こんな……」

一年経っても、心はまだ抵抗を続けている。

体はもう完全に女なのに……。

服を着替えるたび、ヨガで体を動かすたび、その事実を突き付けられる。



数日後のレッスン。

クラスが終わった後、一人の男性が私に声を掛けてきた。


「先生……今日、ご飯でも行きませんか?」


私が指導しているクラスにいつも来てくれている生徒さんが、真剣な眼差しで私を見ている。


「……え……」

声が裏返る。


――これが、次の段階なのか。

女として生きることを強要された私が、今度は“男に求められる”番なのか。


逃げ場のない現実が、また一歩、私を追い詰めていく。



夜、ベッドに沈みながら私は目を閉じる。

昼間に聞いたリリーさんの言葉が、脳裏に響く。


私は……どうなってしまうのだろう。

女として生きる羞恥は、まだ終わらない。

むしろ、これからが本当の始まりなのかもしれない。


唇を噛みしめながら、私は熱い男性のモノを受け入れていた。




【おわり】


※来週からは『メンズメイク体験から始まった、僕の女装堕ち』を投稿していきます。

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