MusaRai
桜梅桃華@女装・TSF小説
桜梅桃華@女装・TSF小説

fanbox


女性限定ヨガに紛れ込んだ俺の末路:7 【完】

“私”の新しい人生

「両手で合掌をして、そのまま腕を伸ばしましょう。息を大きく吸ってー……」

私はマットの上で手本を示しながら、やわらかい声で導く。


夕方のヨガスタジオ。大きな鏡には、女性たちが一斉にポーズを取る姿が並ぶ。

笑顔で指導する私も、そこに違和感なく紛れ込んでいる。


「先生、今日もありがとうございました!私も先生みたいに綺麗にポーズを取りたいです」

生徒の一人がはにかみながら言う。

私は「ありがとう」と微笑んだ。


――まるで、本当に“女性の先生”であるかのように。


けれど、胸の奥は冷え切っている。

この笑顔も声も、すべて“作り物”。

私が男であった痕跡は、どこにも残っていない。


◆


あの日から、ちょうど一年。

気が付けば、私はヨガ講師として働いている。

週に数回、いくつかのクラスを任され、表向きは人気のあるインストラクターだ。


でもそれは、自分の意志で選んだ未来じゃない。

強制的に“女の体”にされ、逃げ場を塞がれた結果――。

この場所以外に居場所を持てなくなってしまっただけ。


「今日は満月ですので、月礼拝ヨガを行いましょう」

無意識に震える声を抑え、私は手を上げる。


胸のふくらみが揺れるのは、最近ようやく慣れてきた。

だけど、女らしい体で動くたび、羞恥がこみ上げる。


それでも、私は笑顔で取り繕う。

“インストラクター”として振る舞う以外、選択肢はないのだから。


◆


レッスンが終わり、更衣室のドアを閉めた瞬間、私は壁にもたれて深いため息をつく。


「……はぁ……」

汗で張りついたヨガウェア。

鏡に映るのは、すっかり女らしい輪郭をした顔。

長い髪を後ろで束ね、化粧で整えられた私。

どこから見ても“女”。

男の影は、どこにもない。


「今日もお疲れさま」

背後から声を掛けられる。

JURIAだ。

あの日からも、彼女は変わらず私の近くにいる。


「いい笑顔だったじゃないですか。もう完全に女の先生ですね」

にやりと笑う。


「……見てたんですか」


「私はあなたの指導役ですからね」

言葉が突き刺さる。


そうだ、私は自分の意志でここに立っているわけじゃない。

全部、彼女たちに仕組まれた人生。


「明日もまたよろしくね」

耳元でささやかれ、背筋が凍る。


◆


夜、スタジオを閉めて帰ろうとすると、入口で待っている人影があった。


「リリーさん……」

彼女は相変わらず柔らかい笑顔で、紙袋を手渡してきた。


「差し入れよ。頑張ってるご褒美」

袋の中には、可愛らしい下着と、華やかなリップティント、そして彼女の会社の商品であるプロテイン。


「……これ、別にいらないです…」


「駄目。女の子は可愛くしてないとね」

逃げ場を与えない笑顔。

私は観念して袋を受け取る。


「今度、男性の生徒さんと食事にでも行ったら?」


「え……?」

耳を疑う言葉。


「男性の生徒さんからも結構人気あるみたいだよ。体がエッチだって」

リリーさんは軽く笑いながら手を振って去っていった。


胸がざわつく。

私は男性からそんな目で見られるようになっていたのか……。


◆


帰宅後、シャワーを浴びてから差し入れを取り出す。


貰った下着を身に着ける。

「……どうして、こんな……」

一年経っても、心はまだ抵抗を続けている。

体はもう完全に女なのに……。

服を着替えるたび、ヨガで体を動かすたび、その事実を突き付けられる。


◆


数日後のレッスン。

クラスが終わった後、一人の男性が私に声を掛けてきた。


「先生……今日、ご飯でも行きませんか?」


私が指導しているクラスにいつも来てくれている生徒さんが、真剣な眼差しで私を見ている。


「……え……」

声が裏返る。


――これが、次の段階なのか。

女として生きることを強要された私が、今度は“男に求められる”番なのか。


逃げ場のない現実が、また一歩、私を追い詰めていく。


◆


夜、ベッドに沈みながら私は目を閉じる。

昼間に聞いたリリーさんの言葉が、脳裏に響く。


私は……どうなってしまうのだろう。

女として生きる羞恥は、まだ終わらない。

むしろ、これからが本当の始まりなのかもしれない。


唇を噛みしめながら、私は熱い男性のモノを受け入れていた。




【おわり】


※来週からは『メンズメイク体験から始まった、僕の女装堕ち』を投稿していきます。

——————

女性限定ヨガに紛れ込んだ俺の末路:7 【完】 女性限定ヨガに紛れ込んだ俺の末路:7 【完】 女性限定ヨガに紛れ込んだ俺の末路:7 【完】 女性限定ヨガに紛れ込んだ俺の末路:7 【完】

More Creators & Models