MusaRai
桜梅桃華@女装・TSF小説
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女性限定ヨガに紛れ込んだ俺の末路:6

逃げ場のない夜

「さ、行こうか」

リリーさんがバッグを肩にかけ、軽い声で言う。


「……ど、どこに……」

声が震える。


「この話の流れで病院以外ないでしょ」

さらりと笑顔で返された一言で、足がすくんだ。


「い、嫌だ……!無理です!本当に俺、そんなつもりじゃ――」

必死に抵抗したけれど、JURIAが俺の腕をしっかりと掴んで離さない。

笑顔のまま、声だけが冷たい。


「拒否したらもっと恥ずかしいですよ?通報されて“性犯罪者”でニュースに出たいんですか?」


全身の血が一気に冷えて、抵抗の力が抜けていく。


スタジオから出ると、あたりは日が沈みかかっていた。夕焼けの紅色に染まる街を、俺を乗せたタクシーが走る。


後部座席の両隣に、JURIAとリリーさん。

俺は真ん中で、まるで護送される囚人のように縮こまっていた。

窓に映る自分の顔は青ざめ、唇がかすかに震えている。


「大丈夫。痛みは麻酔で分からないから」

リリーさんが、まるで優しく慰めるように囁く。


「朝には“完全に女の子の体”になるよ」

――優しい言葉のはずなのに、鎖のように重く絡みついてくる。


「……っ……」

喉の奥で言葉が詰まる。



クリニックに着くと、すでに医師らしき人物が白衣で待っていた。


「ご案内します」

無表情の声が響く。

俺の心臓は悲鳴を上げるみたいに暴れている。


廊下を歩く靴音が、やけに大きく反響する。

無機質な光、冷たい白い壁。

奥の小さな一室に入る。


「書類にサインしてもらいますね。拒否するなら警察に……」

JURIAが差し出した紙とペン。

視界がにじみ、字がうまく読めない。

それでも、震える手でサインを書かされた。

これでも後戻りはできなくなってしまった……。



「はい、じゃあベッドに横になってください」

医師が淡々と告げる。


「い、嫌だ……!俺、本当は嫌です……!やめてください……!」

必死に訴えるけれど、両側から腕を押さえ込まれた。


「大丈夫大丈夫、力抜いて。すぐに眠くなるから」

リリーさんが微笑みながら、俺の口元に透明の呼吸器を押し当てる。


「やめ――っ……!」

甘い薬品の匂いが鼻に流れ込む。

肺に冷たい煙のようなものが充満し、視界が揺れた。


「さぁ……これで完全に、女の子に……」

JURIAの声が遠のいていく。


(――嫌だ……俺は……男で……)


光がにじむ。

鼓動の音が、ゆっくり、遠くへと沈んでいく。


最後に見えたのは、手術灯の白い光だった。


――そして、すべてが闇に飲み込まれた。



……熱い。

体の奥から、じわじわと焼けるような熱が広がっている。

意識が浮かび上がると、目の前に白い天井。


「おはようございます」

淡々とした医師の声。

隣では、JURIAとリリーさんが笑顔で覗き込んでいた。


「無事に終わりましたよ。もう、完全に女の子の体です」


「……っ……!」

反射的に下腹部へ手を伸ばす。

だが、そこには何もなかった。

包帯に覆われた平らな感触。

男である証は、跡形もなく消えていた。


「……うそ……」

震える声が漏れる。

その声が、ひときわ高く響いた。

耳に返ってきたのは、自分のものとは思えない、女性のような声。


慌てて胸に手を当てると、そこは明らかに膨らんでいた。

包帯越しでも分かるふくらみが、呼吸のたびに上下している。

確かな重みが胸板にのしかかり、もう男の体ではないと告げていた。


「大丈夫。ちゃんと膣も形成したから、これから女の子として生きられるよ」

リリーさんが、優しく、でも逃げ道を塞ぐように言った。


「よかったですね~。これからは“女友達”として仲良くして下さいね!」

JURIAが弾む声で笑う。


涙が視界をにじませる。


もう、戻れない。

もう、俺は、男じゃない。

声も、胸も、性器もすべて……女にされてしまった。


【7章へつづく…】

次回で最終回です

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